大阪電気通信大学

SDGs(持続可能な開発目標)達成のために行動を起こしてもらうことを目的としたカードゲームの制作

「Hello SDGs」

 「Hello SDGs」は、SDGsを知ってもらい、身近なことから行動を起こしてもらうことを目的としたゲームです。SDGsとは、国連加盟国193カ国が2030年までに達成すると決めた国際目標であり、17の目標と169のターゲットで構成されています。その内容は、貧困問題や住みやすい環境作り、質の高い教育の提供など多様ですが、「誰一人取り残さない」という理念のもと世界中の人々が協力し合い取り組んでいくべきものです。日本ではまだSDGsそのものも、この目標を達成することの重要性も認識している人は多いとは言えません。そこで、SDGsについて楽しみながら学べるゲームを制作し、多くの人にSDGsを知ってもらい、さらに身近な行動を起こしてもらいたいと考えました。特に、私たち若い世代が取り組むことが未来の社会を変える一助になると考え、メインのターゲットを中学生から大学生年代としています。

お題カード

ヒントカード

ゲームマット

得点チップ

[概要]

 SDGsのそれぞれの目標に沿った問題を提示し、それに対してプレイヤーがより良い解決案を考えるゲームです。

[手順]

(1)ゲームマットにヒントカードを裏向けで置き、お題カードはよくシャッフルしてから裏向けで置きます。

(2)じゃんけんをして勝った人から始めます。その後は時計回りで進めます。

(3)親はお題カードを1枚引き、ゲームマットの「今回のお題」と書かれた場所に表向きで置きます。

(4)親はお題カードに書かれているSDGsの目標から考えられる、実社会で起こっている、または今後起こりうると思われる問題を1つ挙げ、発表します。

(5)親は30秒計り、他のプレイヤーはその間に解決案を考えます。

(6)親の右隣のプレイヤーから時計回りで順に解決案を発表します。

(7)プレイヤー全員が発表した後、親が最も良いと思った解決案を発表したプレイヤーを選びます。選ばれたプレイヤーは1ポイントを獲得します。

(3)〜(7)を親が2周するまで繰り返します。2周終えた時点で最もポイントを多く持っていたプレイヤーの勝ちとなります。

工夫

 このゲームはSDGsをあまり知らない方に学んでもらうことを目的としているため、SDGsの目標を見ただけでは実社会でどのような問題が起こっているか、また、どのような問題が関連しているかを考えることが難しく、ゲームテンポを悪くしてしまう可能性があると考えました。そこで実際に社会で起きている問題を書いたカードをヒントカードとして用意し、このカードを使うことができるようにしています。ヒントカードの内容は、ターゲットである中学生から大学生年代の人にSDGsをより身近なものとして感じてもらうため、同世代の学生に身近で起きている問題や気にかかっていることについてアンケート調査を実施し、それをもとに制作しました。
 ゲームとして遊びながら私たちが取り組んでいくべき目標を知ってもらうことのできる教育ゲームを制作できたと思っています。

作者プロフィール

西野 克彦

大阪電気通信大学

総合情報学部 デジタルゲーム学科

教育コンテンツデザイン研究室所属

コメント


宮井理人2021-02-10T21:31:29

非常に興味深いテーマだと思います。
人がそれぞれ生まれも育ちも生きてる環境も異なる以上、絶対に一人では答えを出せないのがSDGsだと思います。だからこそ、"複数人でやるアナログゲームである"ということに意義を感じます。
お題カードも複数人で案を出し合った感じでしょうか?
できれば大学生だけでなく、大学に行けなかった人たちにも広くお題案を募っていただきたいと思います。
大学というのは「大学に行けるくらいには裕福な家庭の人」が集まっている所です。そこだけで募れば偏りが生まれて当然なので、学外の人や、できれば外国にルーツのある方、障がいのある方、ヴィーガンの方など、様々な人々からの意見を募った上でお題カードを充実させていってほしいと思います。

西野克彦2021-02-11T12:18:26

興味を持っていただきありがとうございます。
この制作はアナログゲームの一番の特徴であるコミュニケーションを活かしてSDGsについて取り組んでもらいたいと思い制作しました。
お題カードについてですが、写真に写っているように表面にはSDGsの目標のロゴと簡単な説明のみを載せています。お題カードを引いたプレイヤーが書かれたSDGsの目標に沿うような、自身が思う問題点や課題を発表するゲームとなっているのでお題案を募りませんでした。これに関しては、プレイヤーにとって身近だと感じる問題とSDGsを結びつけて考えて欲しいという意図をもって制作したからです。
私自身が知識のない状態から制作を始めたため、学外や障がいのある方などから多くの様々な意見や案を募るに至りませんでした。今後はSDGsについてさらに知識を深めると同時にブラッシュアップに努めていきたいと考えています。